第4回身体のタイプを知って、体調を改善しましょう。
あなたは、上半身から下半身に向かう「気」が逆流している「気逆」(きぎゃく)かも?
■ 東洋医学で知るあなたの身体のタイプ
東洋医学には「気血水」(き・けつ・すい)という身体を支える3本柱という考え方があります。「血」は血液、「水」は「血」以外の体液、そして、「気」はエネルギー源です。
生命活動の根幹をなす「気」が乱れると「気病」という身体の不調が起こってしまいます。
気病には、「気虚」(ききょ)、「気滞」(きたい)、「気逆」(きぎゃく)の3つがあり、今回は気病の最後のひとつ「気逆」についてのご説明です。
前回同様、簡単な診断テストもつけておきますので、ご自分が「気逆」に当てはまるかどうか調べてみてくださいね。
■「気逆」(きぎゃく)とは?
「気逆」とは、体内の気の循環が乱れているために、本来ならば中枢から末梢、つまり頭から手足の先、上半身から下半身に向けて下降していかなければならない「気」が逆流している状態です。気が上昇してしまっているので「気の上衝(じょうしょう)」とも呼ばれます。
上半身に向かって気が逆流するため、突然の頭痛や「めまい」や動悸、冷や汗などの症状が出ることがあります。
また、下から上にこみ上げるように感じることがよくあり、激しい咳や、呼吸の乱れ、吐気や嘔吐、ゲップが出るなどの症状が起こる方も多くなります。
手足は冷えているのに、顔がほてって「のぼせ」を感じるなど、自律神経やホルモンバランスが崩れるという、更年期障害とよく似た症状の場合が多いです。
■あなたが「気逆」の状態かどうか診断してみましょう。
こちらの表にある、身体の状態をご自分で振り返り、「当てはまる」「少し当てはまる」と思う場合は、それぞれの点数を足していってください。もちろん当てはまらない場合は足さなくて大丈夫です。「気逆」の診断は男性・女性とも同じ点数となります。
さあ、さっそくやってみましょう。
いかがでしたか? 何点になりましたか? もし、合計点数が「30点」を超えていたら、あなたは「気逆」の状態と言えます。
■気逆の状態を改善するには?
「気逆」の場合は、まず気の流れを整え、正常に戻すことが大切です。ウォーキングやジョギング、軽い有酸素運動を行なって気の流れを整えましょう。
またストレスも気逆の大敵。ストレスを溜めないように、少しでも自分のための時間をつくるなど、リラックスタイムを確保することも大切です。
さらに、足元を温めことが大切ですので、ぬるめのお風呂にゆっくり入るのは非常に効果的。仕事や作業する間にも、意識的に休憩を入れるように心がけ、深呼吸・腹式呼吸でリラックスするのもオススメです。
服装も、のぼせを感じたら首元を開けて熱を逃がすなど、温度調整のしやすいものを着るようにしましょう。
お酒は血行の促進には役立ちますが、気の逆流を促進してしまいがちですので、飲み過ぎには注意してくださいね。
■気逆を改善する食べ物って?
気逆の状態を改善するためには、気の流れを改善するために、体内に溜めていたものを発散させてから、改善に役立つもの食べたり飲んだりするのが効果的です。
入浴後や運動後など汗をかいたり、便通の後など身体から排出してから食事をするのもいいと思います。
また、前回、気滞の改善でも解説しましたが、「気」を全身に巡らせるのは「肝臓」の働きが重要です。玉ねぎや、らっきょうなどの肝臓の働きを助ける食品や、苦味のあるものも摂るようにしましょう。
また、良い香りでリフレッシュするのも効果的。ゆずなどの柑橘系や、シナモンなどの香辛料を適度に摂るのもおすすめです。
手足の冷えを改善する食べ物とり肉、レバー、まぐろ、ヨーグルト
自律神経を安定させる食べ物豆乳、豆腐、味噌など大豆製品
香りでリフレッシュできる食べ物柑橘類、しそ、しょうが、シナモン
■「気逆」の状態を改善するには、こんな漢方茶がオススメです。
「気逆」の状態を改善するには、柑橘系の「国産ゆず」「みかん」「金柑」などが入った「漢方茶」がオススメです。
また、熱冷ましやのぼせの改善に効果があるとされる「薄荷」(はっか)、「桂枝」(けいし)、「しそ」や「蘇葉」(そよう)、「菊花」などが配合されているものがいいでしょう。
薄荷(ミント)ティーなど香り高いハーブティーは、さらにリラックス効果もあります。
さらに「ダンデリオンルート」「チコリルート」の入った漢方茶は、肝臓の働きを整え、気の巡りの改善に役立つのでオススメです。
香りが良く、リラックス効果が期待できる漢方茶を飲んで、気の巡りを改善し日々の健康維持につなげてくださいね。
「統合医療のスペシャリスト 医学博士・川嶋朗先生の「東洋医学」コラム」シリーズ
川嶋朗先生
東京有明医療大学保健医療学部
鍼灸学科教授
広島大学医学部客員教授
一般財団法人東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当
一財東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当。
自然治癒力を重視し、近代西洋医学と補完・代替医療を統合した医療の実践を日本の医科大学で初めて立ち上げ、現在も日本の医療系の大学の教育・臨床・研究の現場に立っている。
「よりよく生きる」「悔いのない、満足のいく人生を送る」ための心得として、「自分の理想的な死とは何か」を考えるQOD(クオリティ・オブ・デス=死の質)の提唱者。