■ 東洋医学で知るあなたの身体のタイプ
東洋医学の「気血水」(き・けつ・すい)。「血」は、文字通りの血液で、「水」は「血」以外の体液(水分)です。
そして、「気」は生命活動の根幹をなすエネルギー源です。
中でも「気」が乱れると「気病」という身体の不調が起こってしまいます。
気病には、「気虚」(ききょ)、「気滞」(きたい)、「気逆」(きぎゃく)の3つがあり、前回は「気」のエネルギーが不足している状態の「気虚」について解説しました。
今回は「気滞」についてのご説明です。
前回同様、簡単な診断テストもつけておきますので、ご自分が「気滞」に当てはまるかどうか調べてみてくださいね。
■「気滞」(きたい)とは?
「気滞」とは、気の巡りが滞って、うつうつと気分が落ち込んだり、イライラしてしまう状態のこと。
「気」が「憂鬱」になってしまっているので「気鬱」(きうつ)とも呼ばれます。でも、「気鬱」は鬱病とは違いますので「気滞」と表現する方がいいかもそれませんね。
さて、この「気滞」ですが、気がうまく循環できず、停滞してしまうのが原因で起こります。さいなことで怒りやすくなったり、なんとなく不安に陥ったりします。気が停滞することで、悪い気が溜まってしまっているんですね。
気の状態が良ければ感じないことでも、「気滞」の状態になってしまうと、様々なことがストレスに感じてしまいます。その結果、自律神経が乱れ、たとえば顔は火照っていても足が冷たいなど、冷えとのぼせなどの症状が同時に起こることもあります。
また、眠りが浅くなるため、昼間でも眠くなったりして、やる気が減退します。顔色が暗く無表情になり、ため息が多いのも特徴のひとつです。
女性の場合は、月経の不順や、生理前には乳房が張って痛みが出る場合もあります。便秘と下痢を繰り返すことも多いです。
■あなたが「気滞」の状態かどうか診断してみましょう。
こちらの表にある、身体の状態をご自分で振り返り、「当てはまる」「少し当てはまる」と思う場合は、それぞれの点数を足していってください。もちろん当てはまらない場合は足さなくて大丈夫です。「気滞」の診断は男性・女性とも同じ点数となります。
さあ、さっそくやってみましょう。
いかがでしたか? 何点になりましたか? もし、合計点数が「 点」を超えていたら、あなたは「気滞」の状態と言えます。
■気滞の状態を改善するには?
「気滞」の場合は、身体の中に溜まってしまった「悪い気」を発散させることが何よりも大事。気を循環させ、外へ出すために軽い運動が効果的です。
また、ストレスやプレッシャーといった精神的な要因も「気滞」の大きな原因になりますので、ストレスをあまり感じないようにしたり、ストレス解消に努めましょう。深呼吸をよく行なうこともいいですね。
ストレス解消の方法は、人によって違うとは思いますが、普段から明るい気持ちで過ごせるように、友人と積極的に会って話をするなど、意繊して人とコミュニケーションを取ることも大切です。趣味を楽しんだり、できるだけ心に余裕を持つように心がけましょう。
また、湿気はうつ気分を増加させるので、住まいはある程度乾燥した状態を保ったほうがいいと思います。
■気滞を改善する食べ物って?
俗に「やけ食い」という言葉がありますが、「気滞」などイライラしている時は、とにかく過食状態になりがちです。できるだけ過食はせずに、基本的に消化に良いものを食べ、身体への負担を減らしましょう。
また、「気」を全身に巡らせるのは「肝臓」の働きが重要です。玉ねぎや、らっきょうなどの肝臓の働きを助ける食品を積極的に摂るようにしましょう。
また、良い香りはストレス解消にも効果的なので、みかんや、ゆずなどの柑橘系もおすすめです。
「気」を促進する食べ物玉ねぎ、らっきょう、にら、しょうが、しそ、パクチー、みかん、ゆず、など。
消化を助ける食べ物大根、かぶ、オクラ、など。
不安・不眠の改善に役立つ食べ物牡蠣、ゆり根、小麦、など。
■「気滞」の状態を改善するには、こんな漢方茶がオススメです。
俗に「やけ食い」という言葉がありますが、「気滞」などイライラしている時は、とにかく「気滞」の状態を改善するには、ハーブ系の「漢方茶」を飲むようにしましょう。
花の香りで気分を整え、気持ちをスッキリさせることで、リラックス効果が期待できます。
「パッションフラワー」「ラベンダー」「赤いバラ」「ピンクのバラ」「サフラワー」「マリーゴールド」「オートムギ」「さくら葉」などが配合されているものがいいでしょう。
また、柑橘系の「みかん」「ゆず」「金柑」もおすすめです。
リラックス効果が期待できるハーブ系の漢方茶を飲んで、ゆっくり深呼吸。漢方茶でほっとできる時間をつくり、気の巡りを改善しましょう。
ぜひ、漢方薬や「漢方茶」を生活に取り入れて、日々の健康維持につなげてくださいね。
「統合医療のスペシャリスト 医学博士・川嶋朗先生の「東洋医学」コラム」シリーズ
川嶋朗先生
東京有明医療大学保健医療学部
鍼灸学科教授
広島大学医学部客員教授
一般財団法人東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当
一財東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当。
自然治癒力を重視し、近代西洋医学と補完・代替医療を統合した医療の実践を日本の医科大学で初めて立ち上げ、現在も日本の医療系の大学の教育・臨床・研究の現場に立っている。
「よりよく生きる」「悔いのない、満足のいく人生を送る」ための心得として、「自分の理想的な死とは何か」を考えるQOD(クオリティ・オブ・デス=死の質)の提唱者。