■ 東洋医学で知るあなたの身体のタイプ
東洋医学には「気血水」(き・けつ・すい)という言葉があり、それが、人体を構成する3つの「基本的な要素」であるというお話しを前回させていただきました。
「血」は、文字通りの血液で、「水」は「血」以外の体液(水分)です。そして、「気」は生命活動の根幹をなすエネルギー源です。
この「気血水」が常に身体の中を巡ることで、人間の心と身体の健康が維持されています。反対に「気血水」の巡りやバランスが崩れると、体調が悪くなってしまうわけです。
今回から「気」が乱れることで起こる体調の不良である「気病」について詳しく解説していきます。
気病には、「気虚」(ききょ)、「気滞」(きたい)、「気逆」(きぎゃく)の3つがありますが、今回は「気虚」についてご説明します。
簡単な診断テストもつけておきますので、ご自分が「気虚」に当てはまるかどうか調べてみてくださいね。
■ 「気虚」(ききょ)とは?
「気虚」とは、文字通り「気」が空っぽになっていること。つまり「気」のエネルギーが不足している状態です。
誰でも、運動の後や仕事が終わった時などは疲労を感じると思います。それは一時的に「気」が不足した状態とも言えます。
ですが、一晩ぐっすり眠れば、翌朝には疲れがとれていますよね。それは「気」が回復しているということでもあります。
しかし、身体が弱っていたりすると、一晩ゆっくり眠っても「気」が回復せず、慢性的に疲労を感じてしまいます。
それが「気虚」(ききょ)という状態です。
この「気虚」の状態に陥ると、身体の抵抗力が弱まり、疲れや倦怠感を覚えやすくなり、息切れや脈が弱くなるなどの症状が出ることもあります。
体力が弱くなっているので、免疫力が下がり、病気に罹りやすくなってしまいます。
■ あなたが「気虚」の状態かどうか診断してみましょう。
こちらの表にある、身体の状態をご自分で振り返り、「当てはまる」「少し当てはまる」と思う場合は、それぞれの点数を足していってください。もちろん当てはまらない場合は足さなくて大丈夫です。気虚の診断は男性・女性とも同じ点数となります。
さあ、さっそくやってみましょう。
いかがでしたか? 何点になりましたか?
もし、合計点数が「30点」を超えていたら、あなたは「気虚」の状態と言えます。
■ 気虚の状態を改善するには?
可能であれば、仕事はほどほどにして過労を避けることが大切です。もちろん、充分な睡眠をとって、できるだけ身体を休めるようにしてください。
起きている間も、リラックスを心がけるようにしましょう。好きな音楽を聴いたり、映画を観たり、どちらかといえば身体をあまり動かさないでも楽しめる「趣味」もおすすめです。
適度な運動も大切。ただし、ハードな運動はNG。ヨガやゆっくりとしたウォーキングなどを行なうものいいと思います。
■気虚を改善する食べ物って?
胃腸に負担がかからないものを食べるようにしましょう。また、身体を温めることが大切ですので、できるだけ温かい状態に調理するなどして食べましょう。
基本的にエネルギーが足りていない状態ですので、改善するまでダイエットなどは行なわないようにしてくださいね。
「気」を補う食べ物お米、いも類、ブロッコリー、キノコ類、牛肉、うなぎ、はちみつ、など。
「気」の巡りをよくする食べ物温かいそば、らっきょう、にら、みかん、ゆず、など。
■ 「気虚」の状態を改善するには、こんな漢方茶がオススメです。
「気虚」の状態を改善するに、身体を温めることができる「漢方茶」もおすすめです。
特におすすめなのが「みかん」「ゆず」「金柑」「オートムギ」「夜交藤」「連銭草」「カモミールジャーマン」が配合されているもの。
疲労回復や滋養強壮、リラックス効果などが期待できるこれらの漢方やハーブは、「気虚」にも効果が期待できます。
温かいこれらの漢方茶を飲んで、身体を休ませてくださいね。そして、「気」の巡りを整えて、もっと健康になっていただきたいと思います。
ぜひ、漢方薬や「漢方茶」で「気」の巡りを整え、日々の健康を維持していただきたいと思います。
「統合医療のスペシャリスト 医学博士・川嶋朗先生の「東洋医学」コラム」シリーズ
川嶋朗先生
東京有明医療大学保健医療学部
鍼灸学科教授
広島大学医学部客員教授
一般財団法人東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当
一財東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当。
自然治癒力を重視し、近代西洋医学と補完・代替医療を統合した医療の実践を日本の医科大学で初めて立ち上げ、現在も日本の医療系の大学の教育・臨床・研究の現場に立っている。
「よりよく生きる」「悔いのない、満足のいく人生を送る」ための心得として、「自分の理想的な死とは何か」を考えるQOD(クオリティ・オブ・デス=死の質)の提唱者。